凸森の思弁的卵かけごはん

アニメ/マンガ/本/音楽/映画/グルメetc...エンタメ関連を中心に、日々の徒然を綴るブログです。

"SOLF"について語る

私は音楽についてそこまで詳しいわけではない。

Apple Musicをサブスクしているが、そこでダウンロードされるものといえば今期のアニメ主題歌で「いいなぁー」と思ったものを拾ってそれを3~4曲まとめて"2020年春アニメ"とプレイリスト名をつけて、それをエンドレスリピートするだけだ。今期のプレイリストには鈴木雅之・angela・flumpool・坂本真綾が入っている(アニメ好きなら何の曲かわかるはず)。

最近聞く音楽も、米津とか、髭ダンとか、King Gnuとか、要するに流行りの音楽しか聴かなくなった。20代の頃は流行曲を嫌悪し、60年代アメリカロックとか、ジャズとか、クラシックを聴いているときもあったが、もうその頃に尖らせていた感性の歯牙はすっかり去勢されてしまった。詰まるところ、晴れて私は大二病から卒業できたのだ。

そんな中、今、これでもかと言わんばかりに、感性の鋭い歯牙をバリバリに尖らせている一人のアーティストに私は嵌っている。

 

それが、"SOLF"である。

 

 

SOLFとは、twitterでは「イセノ」(@iseno_kkk)、作詞/作曲クレジットには「Kei Iseno」名乗る方が作られている音楽にクレジットされている名前である(グループ名的なものなのか、レーベル名的なものなのか、定かではない)

イセノさんは、多分20才になったかならないかの学生ではないかと思う。

その彼が2019年10月ごろから自らサンプリングしたインスト音楽を自作PV付きでtwitterに投稿し始めたのが、私が彼を知ったきっかけであった。そこから定期的に数本の作品が投稿され、いつしかそれをとても楽しみにしていた自分がいた。

ベースはロックテイスト。激しくロックをしている作品もあれば、非常におしとやかなサンプリングも得意とし、曲調は多岐にわたっている。

しかし、私が何よりも彼の音楽で好きなところは、彼の生み出す音楽が90~00年代への郷愁/オマージュの感覚にあふれているということである。20代であろう彼が、なぜそこまでこのようなノスタルジーを表現できるのだろうか?

 

ここまで長々と書いてみたが、やはりここは実際に彼の音楽を聴いてもらったほうがいいと思うので、誠に勝手とは思っているが、この場でいくつか紹介させていただき、多くの人に彼の音楽に触れてもらいたいと思う。

 

 

・SOLF - allmyfault


SOLF - allmyfault (short-ver.)

私が初めてSOLFに触れたのが、この作品であった。

衝撃的だった。。

このビートに乗って伝わってくる、自殺衝動のオーバードーズ...!!!

友人関係、恋人関係、学校、仕事、他者と触れ合うということは常に傷つけられるという高いリスクがあって、それでも他人を信じて頑張ってきたのに裏切られた時に溢れる、

「あああああああああ!!!!死にたい!!!!!!!」

という気持ちがストレートに音楽/映像表現されていることによる疾走感が、非常にいいと思ったのだ。

 

・SOLF - skin


SOLF - skin (short-ver.)

彼の音楽センスの高さは言うまでもないのだが、映像の選定/編集のセンスも非常に高い。

電線、電車(多分秋葉原から見える総武線か?)、AI、ゲームセンター、プレイステーション(初代起動画面)、カセットテープ、エヴァ、、、横溢する90年代のオマージュ...!!

さすがというか、やはりというか、岩倉玲音がここで登場するのは必然だった。なぜなら、SOLFのKei Isenoが今ここで行っていることは『Serial Experiment Rain』の現代アップデートにも近い所業であるからだ。

 

・SOLF - PALASCAPE


SOLF - PALESCAPE

上記2作品が激しいビートの作品であったが、こちらは一転変わって非常に静かな作品だ。「雨」がテーマとなっているのだが、面白いのは、何か些細なきっかけ、それは例えば床に水の雫がほんの一滴垂れるということで、世界が裏返しになるという可能性を妄想することでしか、現実を受け入れることができない、現代の悲哀が巧みに表現されていることである。

 

・SOLF - JUXT


SOLF - JUXT (short-ver.)

「幸せが壊れるとき、いつも血の匂いがする」

これは竈門炭治郎のあまりにも有名なセリフであるが、SOLFの場合、血は流れない。内部的な何かが、他人には見えない形で、しかし確実に、他人には聞こえない音を以って崩れていく。0:32のビートが変わるシークェンスの中で、『ココロコネクト』の稲葉姫子を持ってきてくれたことに、感謝とセンスの塊しか感じられない。

 

・SOLF - PARALYZED


SOLF - PARALYZE

かつて、夏目漱石が、男女が出会うシーンの中で必ず"水の横溢"を描写したように、SOLFのKei Isenoにも漱石感覚があったようだ。それは、水の流れとともに、ある種の痺れをもたらす衝撃に溢れていてる。

 

・SOLF - STOVE


SOLF - STOVE

私の中では、これが今のところ一番好きかもしれない。

ワイヤードの中で閉じこもる岩倉玲音と、外の風になびく岩倉玲音。

0:50のところで一旦パーカッションが止んで、0:52からSmashing Punpkinの「Today」が流れるあたりの構成があまりにも美しく、涙すら出てしまいそうになる。。

 

 

以上の作品が、今までTwitterかYouTubeでしか聞けなかったものだが、昨日からApple MusicやSpotify等での配信がスタートとなった。

 

このリリースにテンションが上がって、私も筆を執った次第であった(笑)

 

また、今年の6月10日(つい先日)にSOLFの新曲がTwitter/YouTube上で公開されたのだが、なんと今回はインストではなくボイスも入っていた!?!?

・SOLF - 許したような


SOLF - 許したような

Iseno氏の声を初めて聴いたが、驚くほど美声である。。

音楽/歌詞/ボイス/イラスト/ビート、これぞまさに”the SOLF”!!!!

 

いかがでしょうか?

あなたも私も、もう今後のKei Isenoの活躍に目が離せなくなったはずだ。